笠利病院だより

島唄がもたらした、癒しの時間

奄美はすっかり春の陽気から、天気がいい日は半袖で過ごせるほどになり、気持ちよく過ごせる日が続いています。

訪問看護に在籍して数年たちましたが、今回、当院職員の協力のもと、心温かい出来事がありました。

在宅での療養を決断された、あるご家族。ご家族は昼夜問わず、介護にあたっていました。

訪問時には、利用者様のいろんなお話しを聞かせて頂いていました。特に島唄が好きで、島の行事や八月踊りの時など、率先して踊りをしていたことや、島唄を聞かせてあげたいなどのご家族の思いを伺っていました。

ある日、エレベータでたまたま乗り合わせた職員Sさんが、三味線を持って出勤しているところに遭遇。それとなく、島唄を聞かせてあげたい利用者様がいることを話してみると、是非行きたと快諾してくださいました。

さっそく訪問時に同行してもらい、Sさんに島唄を披露してもらいました。

Sさんの島唄は、心に響くものがあり、ご家族、そして私も涙が自然と出てきました。

3曲ほど披露し、「最後は六調を踊らんばね」その一言で、雰囲気はがらりと変わりました。不思議なもので島人は六調が流れると勝手に身体が動き、手振りをしながら笑顔になります。奥様は、チジン(太鼓)を片手に、拍子を添えて、それはそれは大盛りあがりでした。

翌日、ご家族より、退院してきてから初めて、家族みんなぐっすり眠ることが出来たことや、島唄を聞かせてあげることができて良かったなどのお言葉を頂き、それをSさんに伝えたところ、「そんなに喜んで貰えるなら、またいつでも声掛けしてね。私も楽しかった」と頼もしい言葉を頂きました。

日常に当たり前にある島唄が、こんなにも心に癒やしをもたらすことに、感動した出来事でした。

急な申し出にも、快く対応して下さったSさん、本当にありかどうございます。